FAXの注文書の入力は、どこまで自動にできるのか

コラム 文:代表 深井 聖広

「FAXをやめたい。でも、取引先が送ってくるから、やめられない」。受注の現場で、よく聞く声です。

FAXそのものをやめなくても、入力の手間は減らせます。届き方はそのままに、AIが読み取って一覧に入れ、人は最後に確認するだけ。この記事では、それが「どこまでできて、どこからは人がやるべきか」を、正直に書きます。

FAXをやめられない理由は、取引先にある

製造業で受注業務を担当する329人への調査(2024年)では、次のような結果でした。

  • 73.3 %

    FAXで注文を受けることがある

  • 60.4 %

    FAXの注文を、手で入力している

  • 88.4 %

    FAXをやめたい

  • 63.0 %

    やめられない理由「取引先がFAX」

出典:AI inside「受注業務に関する実態調査」(2024年6月実施)。MONOist の記事(2024年9月10日)

別の調査(中堅・中小企業712社、2020年)でも、受注の手段でいちばん多いのはFAX(37.2%)でした。FAXでの困りごとは「転記の負担」(35.2%)と「読み取り間違い・誤解」(29.7%)が上位です。

出典:アイル調べ。ECのミカタの記事(2020年11月)

つまり、自社だけではFAXをやめられません。変えられるのは、届いた後の入力のしかたです。

届いてから一覧に入るまで、5つの段階

  1. 1 仕組み 受け取る 複合機の「PDFでメールに転送」や、インターネットFAXで、そのまま受信箱へ。紙の注文書はスマホで撮って送る。取引先には何も頼みません。
  2. 2 AI 読み取る 取引先・日付・商品名・数量・納期などを読み取る。
  3. 3 AI そろえる 取引先ごとに違う書き方を、自社の受注一覧の形に。略した商品名を、商品の一覧と照らして商品コードにする。
  4. 4 人 確かめる 自信の低い所だけ、印を付けて止まる。人が見て、選んで、確定する。
  5. 5 仕組み 出す Excel・CSV など、今お使いの販売管理に取り込める形で出す。

いちばん手間がかかっていた「見て、書き写す」作業(2と3)を、AIが受け持ちます。

正直に言うと、「全部自動」にはなりません

AIが得意なこと AIが苦手なこと
得意 印字された文字の読み取り 苦手 くせの強い手書きの数字(1と7、0と6など)
得意 形がバラバラの注文書から、同じ項目を探す 苦手 かすれ・傾き・解像度の低いFAX
得意 「段ボール大」のような略した書き方を、商品の一覧と照らし合わせる 苦手 二重線での訂正や、欄の外への書き込み
得意 取引先ごとの書き方のくせを覚える(例を足していく) 苦手 初めて出てくる商品名や、取引先だけで通じる呼び方

苦手なことは、なくなりません。だから、苦手な所で止まる作りにします。
「数字に自信がない」「商品コードが1つに決まらない」――そういう所に印を付け、人に選んでもらいます。黙って間違えるより、迷ったら止まるほうが、安心して使えます。

「全部見る」から「印の付いた所だけ見る」へ

最初は次の4つを「必ず人が見る所」にして、慣れたら減らしていくのがおすすめです。

  1. 01

    数量と金額

    間違えたときの損が大きい所です。

  2. 02

    納期

    「11/5」と「11/8」のような読み違いが、そのまま約束になります。

  3. 03

    初めての取引先・初めての商品

    照らし合わせる相手が、まだ一覧にありません。

  4. 04

    自信の低い所

    AIが自分で「迷った」と言った所です。

確認が済むまで、本番の受注一覧には入れない。この1つの決まりで、AIの読み違いが取引先に届くことを防げます。

何枚から、元が取れるのか

1日の枚数×(今の入力時間 − 確認だけの時間)×月の営業日

例(試算):1日30枚、1枚の入力が4分 → 確認だけなら1分、月22日、時給1,500円(会社負担)の場合

1日に減る時間
30枚 ×(4分 − 1分) 90分
1か月に減る時間
90分 × 22日 33時間
人件費にすると
33時間 × 1,500円 月 約49,500円

※ 前提を置いた試算です。御社の枚数と時給での試算は、トップページのシミュレーターでできます。

効果が出やすい

  • 毎日10枚以上届く
  • 取引先ごとに注文書の形がバラバラ
  • 入力の担当が1人に偏っている

効果が出にくい

  • 週に数枚しか届かない
  • 注文書の形がほぼ1種類(既製の読み取りサービスで足りることもあります)

効果が出にくい場合は、無理におすすめしません。

まずは、実物の注文書を数十枚

  • 実物の注文書

    取引先ごとに数枚ずつ、合わせて数十枚。個人情報は消したもので大丈夫です。

  • 商品の一覧

    商品コードと商品名の表。Excelで十分です。

  • 出力先の形

    今の受注一覧や、販売管理に取り込むときの形。

  • 確認の担当者

    最後に確認する方を1人。

実物で試すと、「この取引先の手書きは読みにくい」「この商品名はいつも略される」といったことが、始める前にわかります。

よくある心配

ここにない疑問も、お気軽にお尋ねください。

取引先に、何かお願いする必要はありますか?

ありません。FAXはこれまでどおり送っていただき、受け取った後を変えます。

注文書の内容をAIに渡しても大丈夫ですか?

入力した情報がAIの学習に使われない設定のサービスを使います。どの情報をどこに保存するかも、事前にご説明します。

AIが読み間違えたら、どうなりますか?

読み間違いはゼロにはなりません。そのため、自信の低い所で止まり、人が確認してから一覧に入る作りにします。

TRY IT

形の違う注文書4枚で、試してみてください

手書きのFAX、PDF、独自の発注書、スマホの写真。形の違う4枚の注文書を読み取り、受注一覧にそろえる流れを、体験デモでそのまま試せます(AIは呼ばない見本です)。

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御社の注文書で、向いているか確かめませんか

実物の注文書を数枚見せていただければ、読み取りやすさと、減らせる時間の目安をお伝えします。

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